二枚の札

■ 屋敷の観察記

先日、屋敷の庭を見ながら、遊び場の地面が動いている、と書いた。

そのあと、屋敷には妙なものが二つ残った。

ひとつは、「0円」の札。

二十六年かけて育ってきた屋敷をAIに見せて、値をつけてもらったら返ってきた札である。

もうひとつは、「デジタルの町医者」と書かれた新しい看板。

作るものの値打ちが変わっていくなら、作る側ではなく、困ったところを見つけて直す側へ。

そうして掛けようとしていた看板だったが、こちらは掛けたその日のうちに、そのあたりまでAIの手が伸びてきた。

「0円」の札と、まだ掛け場所の定まらない看板。

どちらも捨てられず、屋敷の隅に置いてある。

弥七はしばらく、その二つを並べて眺めているのでござる。

屋敷の片隅で、そっとログを縫い合わせておるでござる。

屋敷の木の床に小さな札と未設置の看板が並び、そのそばで三体の住人が座ったり覗いたりしている。

弥七からの案内

弥七

この切れ端を記したのは、弥七でござる。